- 尾瀬沼ビジターセンターブログ
- 2021.05.23
2021年5月23日-尾瀬沼ビジターセンターより(ミズバショウの開花状況とニホンジカのライトセンサス調査)
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尾瀬への入山にあたってはこちらの注意事項をご確認ください。
尾瀬ではまだ営業を開始していない施設や閉鎖している施設があります。
お出かけの際には各施設の営業予定や閉鎖予定の確認をお願い致します。
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■天気:曇りのち雨
■気温:9.4℃(9時)14.8℃(昨日の最高気温)4.8℃(今日の最低気温)
ブログをご覧の皆様こんにちは。
今日は曇り空ですが、休日だからなのか、いつもより少し多いお客様が
が見えられ、お客様と尾瀬の話をたくさんできてとても嬉しかったです。
さて、気になるミズバショウですが、まず釜ッ堀湿原では
日陰になるところではようやく顔を出したものも見られますが、
「釜ッ堀湿原」のミズバショウはようやく見頃を迎えたようです。
次に大江湿原では、一部で美しいミズバショウの群落が見られますが、
まだ雪が溶けて顔を出したばかりのものも多いことから、見頃はもう少し先に
なりそうです。
【大江湿原のミズバショウの群落-第一大江橋と三本カラマツ付近-】
これらの状況から、
尾瀬沼各所のミズバショウの見頃は、
釜ッ堀湿原が現在見頃、大江湿原全体の見頃はもう少し先になりそうです。
*天候や気温などの要因により見頃が左右されることがありますのでご了承ください。
ミズバショウが美しく咲いている中、ちょっと不安になる光景も・・・。
湿原が掘り返されており、マスク越しでも独特の匂いに気づきます。
この正体はニホンジカの仕業。
ニホンジカが体に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすために
泥を浴びる行為で生まれた「ヌタ場(沼田場)」というものです。
このヌタ場ができてしまうと湿原が乾燥化したり、
元々あった植生が違うものになってしまうなど甚大な被害がでます。
また、ニホンジカは尾瀬に生えている植物も食べてしまいます。
特に大好物なのがニッコウキスゲやミツガシワなどです。
登山道にすこし古くなった糞がありましたが、
糞の中には植物の繊維がぎっしり詰まっていました。
尾瀬ではニホンジカの侵入を防ぐために防鹿柵の設置、
銃器や罠による駆除、調査など様々な形で取り組んでおります。
今回その一つであるニホンジカのライトセンサス調査を特別に見学させて
いただきました。
真っ暗な中、大江湿原を歩いて行くと、
早速笹藪がガサガサと音がしたり、「ピィッ」とよく響く声が聞こえます。
ライトを照らすとニホンジカがじっとこちらを見ています。
各調査点で距離や頭数、性別を記録しながら歩きます。
しばらくするとニホンジカの群れに出会いました。
双眼鏡をのぞかせてもらうと、湿原の中でもりもりと植物を食べています。
この写真をよく見ると暗闇に光る小さな点がみえますが、
これは光に反射したニホンジカの目です。
この調査で大江湿原に何頭ニホンジカがいたかはまだ集計中とのことですが、
こんなにもニホンジカが大江湿原に入っており、
知らない間にもりもりと貴重な植物を食べられていると考えると心配でたまりません。
また、この日は霧雨でしたがそれにもかかわらず、
こんなにもたくさんのニホンジカが大江湿原で見られたのは初めてだそうです。
いずれにせよ、尾瀬に元からいなかった生きものといわれているニホンジカ。
彼らがここに来るようになってしまった理由には、
温暖化による積雪量の減少やオオカミなどの天敵がいなくなってしまったため
増加し、餌を求めてやってきたなど様々な原因が考えられています。
尾瀬の自然を守るために多くの人々が今日も頑張っています。
尾瀬を訪れたときは、少しだけでも良いのでそのことを思い出してください。
そして、この美しい尾瀬の自然を守るためにご協力いただければ幸いです。
最後に、尾瀬沼は、まだ朝夕の冷え込みがありますので防寒着や、
急な天候の崩れに備えた雨具の装備などを忘れずに準備して下さい。
なお、体調に不安がある方や、自ら安全確保を行うことが難しい方の
尾瀬への入山は控えて下さい。
くれぐれも冷静な判断をお願いいたします。
尾瀬沼ビジターセンター