
ツキノワグマは、尾瀬の大切な一部です
豊かな自然が残る尾瀬には、ツキノワグマが「普通」に生息しています。
ツキノワグマは、尾瀬の生物多様性を支える重要な役割を担っており、尾瀬の生態系の中で大切な存在です。
私たち人間が、「クマの生息地にお邪魔している」ということを忘れないでください。
人間の不注意な行動によって、危険な存在にしてしまうかもしれません。
尾瀬の美しい自然を守り、そして私たち自身も安全に散策を楽しむために、以下の注意点をお守りください。
ツキノワグマの生態を知ろう
クマとのトラブルを防ぐ第一歩は、クマのことを知ることです。
ツキノワグマには以下のような身体的特徴や性格があります。

- 感覚器官: 視力は人間と同程度ですが、聴覚と嗅覚は非常に優れています。
- 身体能力: 動きは鈍そうに見えますが、走ると時速40kmに達し、木登りや泳ぎも得意です。
- 性格: 基本的には臆病で、人を避ける傾向があります。ただし、個体によって「好奇心旺盛」「ずるがしこい」など性格に差があります。
- 食性: 雑食ですが、春は新芽、夏から秋は木の実といった植物食が中心です。しかし、一度人の食べ物の味を覚えると、執着して人に近づくようになる個体もいます。
クマの生態を踏まえた行動
クマの優れた聴覚や嗅覚、臆病な性格を踏まえ、入山前・散策中は以下の点を踏まえて行動してください。
🔔 聴覚が優れているからこそ…「音で自分の存在を知らせる」
- 鈴や笛、ラジオを鳴らす: クマは本来、人と出会いたくありません。遠くから音を鳴らして人間がいることを知らせれば、クマの方から逃げていきます。
- 音がかき消される場所に注意: 沢沿い(川の音)や強風の日、霧の日は、クマの優れた耳でも人の足音や鈴の音に気づきにくく、バッタリ遭遇する危険が高まります。注意しましょう。
- ただし、見晴らしの良い湿原や、人が大勢いる休憩所・山小屋内など、明らかにクマがいない場所では、他人の迷惑にならないよう音を止めましょう。
👃 嗅覚が鋭く、食べ物に執着するからこそ…「においを出さない・残さない」
- ゴミ・食べ残しは持ち帰る: 残飯やスープの残り汁のポイ捨てでも、鋭い嗅覚を持つクマを引き寄せます。一度人間の食べ物の味を覚えたクマは、人に接近するように学習してしまう可能性があります。
- ペットは連れ込まない: 犬などのにおいや鳴き声は、クマへの刺激になります。
🌲 臆病だからこそ…「食事中・子育て中のクマを刺激しない」
- 時間帯と場所に注意: 朝夕(5〜9時、16〜19時)の薄暗い時間帯は採食活動が活発です。食事中のクマは夢中になっており、人が近づいても気づかないことがあります。
- クマのサインを見逃さない: フンや足跡を見つけたら、近くにいるサインです。その場から遠ざかりましょう。
季節ごとの目撃が多い場所(目安)
▶ 最新!令和8年度の目撃情報はこちら

| 地区 | 要注意な時期 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 鳩待峠〜山ノ鼻 | 6〜8月、9月 | 6〜8月はミズバショウの実、9月はミズナラやブナの実がなるため。 |
| 研究見本園 | 6〜8月 | 特に好物のミズバショウの実が熟すため。安全のために通行止めにする場合もあります。 |
| 竜宮地区 | 6〜7月頃 | 「タケノコ」(チシマザサなどの新芽)を食べているため。 |
| ヨシッ堀田代地区 | 5〜6月 | 湿原に植物の新芽を食べに来るため。 |
| 見晴地区 | 秋 | ミズナラなどの実を食べているクマがよく見られるため。 |
| 尾瀬沼地区 | 6〜8月 (早朝・夕方) | 山すその湿原に現れて、植物の新芽やミズバショウの実などを食べているため。 |
※尾瀬は全域がツキノワグマの生息域です。
上のマップや表は、あくまで特に目撃の多い場所や時期を表しています。
もし出会ってしまったら
❌ 人とクマが出会うとクマも驚きます
クマを興奮させて、トラブルに発展させないため冷静に対応してください。
- 走って逃げる
クマは逃げるものを追いかける習性があります。時速40kmで走れるため、人間は逃げ切れません。 - 大声を出す・騒ぐ
クマを刺激してパニックにさせないため、悲鳴を上げたり物を投げたりしないでください。 - 写真を撮る・子グマに近づく
写真撮影はクマを刺激するため大変危険です。また、子グマの近くには必ず親グマがおり、子を守るために命がけで襲いかかってくる可能性があります。
✅ 推奨される行動
クマとの距離によって対応が異なります。尾瀬の木道が1枚4mなので、目安にしてください。
- 遠距離での遭遇(50m以上/木道約12枚分以上):
クマがこちらに気づいていない場合は、あわてる必要はありません。静かに立ち止まり、クマの動向を見ながらゆっくりその場から立ち去りましょう。 - 中距離での遭遇(20m〜50m/木道約5〜12枚分):
相手もこちらを観察しているい可能性が高いです。大声を出さず、クマの動きから目を離さずに、絶対に背を向けず、ゆっくりと後退しましょう。 - 至近距離での遭遇(20m以内/木道5枚分以内):
クマが驚いて突発的な攻撃をしてくる危険があります。走って逃げず、クマから目を離さず、ゆっくりと静かに後ずさりして距離をとってください。万が一の際の防御姿勢やクマスプレーの使用方法については、群馬県作成の参考動画をご覧ください。
🎥 参考動画(群馬県作成)
ある日、森の中じゃないのに、クマに出会ったら
「クマとの出会いは突然に」~クマスプレーの使い方~
尾瀬でのツキノワグマとの共存に向けた取り組み
尾瀬では、クマと人が共存できるよう、関係者が一丸となって対策と環境整備を行っています。

関係機関との連携・情報公開
国や県、周辺自治体、山小屋などで構成する「尾瀬国立公園ツキノワグマ対策協議会」を運営。マニュアルの運用や目撃情報の公開など、地域一体で取り組んでいます。(尾瀬国立公園ツキノワグマ出没対応マニュアルはこちら)

クマ対策研修会と安全訓練
ビジターセンター職員、山小屋スタッフ、環境省をはじめ、尾瀬の周辺町村関係者(行政関係者、猟友会)も交えて、専門家を招いた研修会を毎年実施。クマスプレーの実演や、追い払い用煙火(花火)の取り扱い訓練を地域一体となって行っています。

ミズバショウの果穂(かすい)の刈り取り
初夏、クマの好物であるミズバショウの果穂(ミズバショウの棒の先の部分)を木道周辺だけ刈り取ります。これによりクマが木道に近づかないよう誘導し、利用者との不意の遭遇を防ぎます。

対策員の配置・パトロール
目撃情報の収集や、事故の危険性が高い時期(6月・8月など)の集中パトロールを実施。現場での立入制限の判断や、入山者への注意喚起を行っています。
尾瀬のツキノワグマってどのくらい目撃されているの?(過去の出没データ)
クマの目撃件数は年によって差がありますが、例年特に6月・8月の目撃件数が多くなっています。
尾瀬では、より安全に尾瀬を楽しんでいただくため、ツキノワグマの目撃情報を収集・公開しています。
ツキノワグマやその痕跡を目撃されたら、尾瀬山の鼻ビジターセンター・尾瀬沼ビジターセンターまたは尾瀬保護財団へ目撃情報をお寄せください。















