- 尾瀬沼ビジターセンターブログ
- 2021.10.08
2021年10月8日-尾瀬沼ビジターセンターより(寒露の尾瀬沼と美しい日本語)
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尾瀬への入山にあたってはこちらの注意事項をご確認ください。
また、環境省尾瀬沼ビジターセンターは、基本的な感染予防対策を実施したうえで開館しています。
詳細はこちらをご覧ください。
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■天気:曇り時々晴れ
■気温:13.2℃(9時)17.4℃(昨日の最高気温)6.7℃(今日の最低気温)
ブログをご覧の皆様、こんにちは。
今日は二十四節気で言う「寒露(かんろ)」を迎えました。
「寒露」とは、夜が長くなり、露がつめたく感じられるころです。
朝晩の冷え込みはきつくなりますが、
空気が澄んだ秋晴れの過ごしやすい日が多くなります。
星や月を観察するには最適な時期です。
尾瀬沼に宿泊の際はこちらの
イベントもチェックしてみてはいかがでしょうか。
↓
◎2021年10月11日開催「山小屋主人が語る尾瀬ひのえまたの魅力」
寒露を迎える前から霜が降りていた尾瀬沼ですが、
より一層寒さが増したようにも感じます。
麓より一足早く布団から出るのが辛い日々を迎えていますが、
冬服に身なりを替えて、とことこ歩いていると発見があります。
キノコもひっそりと生えております。
「ホコリタケ」です。
最初はまん丸で優しく触ると堅かったのですが、今は成熟してぶかぶかとしています。
少し押すと頂端の孔からブワッとほうじ茶のような胞子が煙のように出てきます。
昔はこの胞子を切り傷や擦り傷などにかけて止血薬として活用していたそうです。
この仲間で地面にはえるものは「キツネノチャブクロ」、
枯れた木にはえるものは「タヌキノチャブクロ」とそれぞれ別名もあるそうですが、
分類はなかなか難しいです。
しかし、何もない森の中で煙が立つように胞子が舞い上がる様子を見て、
昔の人は「人を化かしたりするタヌキやキツネの仕業に違いない」と思って
名付けられたのではないかという説やキノコの形が「茶袋に似ているから」という説もあります。
【尾瀬沼VC前に現れたアナグマ-オコジョと同じイタチの仲間-】
*2016年8月10日撮影 石塚さんよりご提供
日本の豊かな自然の中ではいろんな動物がいます。
尾瀬も同様で時折、私達のすぐ近くまで姿を現すこともあります。
また、身近な動物の名前がついた植物やキノコの仲間もたくさんありますので、
その名の由来などを調べてみるとおもしろいかもしれません。
大江湿原の方にあるいてゆくと綺麗な紅葉が見られます。
天高くなった秋の空と柔らかな草紅葉が何ともいえぬ美しさです。
「よく見頃はいつですか?」とお話を頂きますが、
草紅葉は見頃のピーク、尾瀬沼周辺の紅葉は見頃ではありますが、
尾瀬沼地区の小屋周辺のカラマツの黄葉の見頃はもう少し先になりそうです。
なお、美味しそうなキノコや美しい紅葉もたくさんありますが、
尾瀬国立公園内での動植物の採取は禁止されております。
中には触るとかぶれるウルシの仲間や火傷のような皮膚炎を起こすカエンタケ
猛毒を持つキノコもありますのでむやみやたらに触らぬよう気を付けてください。
今年も来年もと繰り返し尾瀬で働いていても
いよいよ下山が近づくこの頃になると
なかなか遠くでゆけない山小屋の人々やガイドなどの方と
「また、来年」「良いお年を」と挨拶をするたび、
シーズンを終える寂しさと同時に
「ただすがすがしい満足に包まれている」(川端康成 著「伊豆の踊子」より)
ような感じがします。
そんなことを考えながら、
木道でふと一人立ち止まると自然と涙が流れてきます。
「頭が澄んだ水になってしまっていて、それがぽろぽろ零れ、
そのあとには何も残らないような甘い快さだった。」
(川端康成 著「伊豆の踊子」より)
学生時代に読んだ川端康成の「伊豆の踊子」の一文を思い出しました。
きっと私もこの主人公と同じ気持ちになっていたのかもしれません。
涙を拭って前を向く頃には、優しい秋風が吹いて頬はすっかり乾きました。
コロナ禍で誰もかれも心身が疲れており、
誰かを平気で傷つけるような言葉が行き交っています。
しかし、四季折々の自然や美しい日本語に触れたとき、
本当のあるべき姿が見え心穏やかになるのではないでしょうか。
尾瀬は山岳地帯のため、山小屋周辺以外、携帯電話は全て圏外になります。
不自由に感じるかもしれませんがほんの少しだけお休みしてみませんか。
携帯画面の中では見られない最高の景色や出会いがあなたを待っています。
尾瀬のシーズンも残すところ1カ月をきりました。
2021年(令和3年)シーズンの各施設の営業終了・閉鎖予定についてなどをしっかり確認して、
防寒着や雨具など忘れずにお持ちください。
◎2021年(令和3年)シーズンの各施設の営業終了・閉鎖予定について
※このページは、随時更新しています。※最終更新日は、2021(令和3)年10月4日 です。
*体調に不安のある方や、自ら安全確保を行うことが難しい方の尾瀬への入山は控えましょう。
くれぐれも慎重な判断をお願いいたします。
尾瀬沼ビジターセンター