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  • 尾瀬沼ビジターセンターブログ
  • 2021.09.25

2021年9月25日-尾瀬沼ビジターセンターより(秋の夜長を楽しむ尾瀬の不思議な話)

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尾瀬への入山にあたってはこちらの注意事項をご確認ください。
また、環境省尾瀬沼ビジターセンターは、基本的な感染予防対策を実施したうえで、一部開館しています。
詳細はこちらをご覧ください。
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■天気:晴のち雨
■気温:12.3℃(9時)17.9℃(昨日の最高気温)10.0℃(今日の最低気温)

秋の花 種にあれど色ごとに 見し明らむる今日の貴さ
(秋の花には色々な花がありますがそれらの花をひとつひとつ、
ご覧になり愛でられる今日は貴き日です。)

ブログをご覧の皆様、こんにちは。
天平勝宝3年(西暦751年)に
孝謙天皇に捧げるために大伴家持が詠んだ歌を
ふと思い出すような穏やかな土曜日です。

「本当に綺麗で良いところだね」という声を聞くにつけても
まるで自分が褒められたかのようについつい嬉しくなります。

花は数えるばかりの種類しかなくなりましたが、
様々な植物が実を結び、尾瀬の花の最終ランナーである
エゾリンドウも静かに咲いています。

【エゾリンドウ】

例年よりも紅葉がやや遅れ気味のようにも思いますが、
落ち着いた色合いの草紅葉もまた美しく見応えがあります。

また、秋の夜長にぴったりな不思議な話が尾瀬には多くあります。
今日はそのいくつかをご紹介したいと思います。

まず一つめは、尾瀬沼の主の話。
尾瀬沼の主は「牛」だと言われています。

平安末期に宇治川の戦いに負けた高倉院以仁王はここ尾瀬沼を通り、
檜枝岐村から伊南村、最後は新潟へと落ち延びてゆきます。

その家来である尾瀬中納言藤原頼実は尾瀬沼で病死、
その亡骸を大江湿原の中の小さな丘(現三本カラマツ)に
埋葬しました。

兄の尾瀬大納言藤原頼国は戦の負傷と弟を置いてゆけないと決心し、
檜枝岐村に残ります。その際に可愛がっていった赤牛が
後に尾瀬沼の主と言われております。

この牛は頼国の死後、ひとりで尾瀬沼まで歩いて行き
弟の尾瀬中納言頼実の眠る尾瀬塚を三度回って
尾瀬沼の中に入り、沼の主になりました。

【三本カラマツ付近にて-尾瀬塚を詣る-】

そのため、昔は尾瀬沼に牛を入れてはいけないという話や
牛の話をしたり、生き物を殺すと天候がみるみるうちに急変し
嵐が起こるなどの様々な言い伝えがあります。

二つめにお話しはどこかで
聞いたことのあるものかもしれません・・・。

「ケセランパセラン」という生き物がいると話題になったこともありましたが、
その正体の一つがこれらの植物の種子と言われております。

人が近づいただけの風圧で飛んでいくことから、
まるで生きもののように見え、その名がついたとか…。

尾瀬沼にもその仲間のような容姿をもった綿毛が飛び始めてきました。
「ヤナギランの果穂」です。

【実を結び果穂が飛んでいったヤナギラン】

【ヤナギランの果穂-綿毛の下には小さな種がある-】

あいにくの雨で濡れてしまっていましたが手に取って観察すると
意外とサイズが大きく、ほわほわしています。

風に飛んでゆく姿はまるで生きものようにも見えるかもしれません。

その他、山の神の使いと呼ばれ恐れられている「ホンドオコジョ」、
東北地方に伝わる「山の神の力でコダマネズミに変えられてしまったマタギの話」で
有名な「ニホンヤマネ」がいます。

【ホンドオコジョ-秋の出会い-】
*菊池様よりご提供の写真

【ニホンヤマネ-冬眠明け-】
*谷田様よりご提供の写真

一見、可愛いように見えますが
昔の人々にとっては畏怖する存在でもあります。

ヤマネは長い冬にむけて冬ごもりの準備を始めたり、
オコジョは親から離れて独り立ちする時期に入りますので
もしかするとその姿を見かけるかもしれません。

周囲が山に囲まれ清らかな水が流れ、
多くの生き物が暮らす尾瀬沼。

多くの豊かな自然が残っており、
そこに人が関わるからこそ生まれる不思議な話の数々。

それを紐解き、耳にするたびに
自然への畏怖と感謝の気持ちは絶えることはありません。

今日も尾瀬沼の主や山の神は
みなさまを静かに見守っているかもしれません。

尾瀬の自然を守るための最低限のマナーを守りながら、
無理せず自分の体力に合った安全な登山をお楽しみください。

*体調に不安がある方や、自ら安全確保を行うことが難しい方の尾瀬への入山は控えてください。
くれぐれも冷静な判断をお願いいたします。

尾瀬沼ビジターセンター

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