- 山の鼻ビジターセンターブログ
- 2021.08.02
2021年8月2日—山の鼻ビジターセンターより(尾瀬で巡る命)
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お出かけの際には各施設の営業予定や閉鎖予定の確認をお願い致します。
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■ 天気:晴れ
■ 気温:25.2℃(最高気温) 12.6℃(最低気温)
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
8月になったかと思えば 湿原ではすでに初秋を代表する花が。
サワギキョウ。
キキョウ科の植物の中でもかなり珍しい形をしています。
全草毒草で、食べると呼吸困難や嘔吐などの症状に見舞われます。
その一方で麻酔薬として利用されてきた歴史がありますが、そのまま亡くなってしまうこともあるなど かなり危険性が高かったようです…
花言葉『乙女の魅力』『悪意・敵意』『特異な才能』など。
何はともあれ美しい花です。
竜宮十字路~ヨッピ吊橋間にて。
こちらのコースは点在する白樺が良い雰囲気を出しています。
中心に白樺を配置し、至仏山の稜線・鬱蒼と茂る森の陰・林・湿原・池塘。
複数の被写体を1枚に詰め込んでも色味が似ているので、横のバランスでまとまりが良くなるよう意識してみました。
入山したての頃の湿原を思い出すと、一面の枯草の下にこんなにも新たな植物の種があったのかと本当に驚きます。
カキラン。
楽しみにしていた植物のひとつ、カキランを見る事が出来ました。
いかにも柿!という色合いです。
撮影場所は、東電分岐から温泉小屋方面へ少し進んだ木道沿い。
下田代や赤田代でよく見られると言われています。
花言葉『芯の強さ』『夢でもあなたを想う』
アブラガヤ。
尾瀬ヶ原でかなりの存在感を放っています。
人の背丈と同じくらいの高さにもなるアブラガヤ。
お米のような実がなりますが、イネ科ではなくカヤツリグサ科の植物です。
「大きいけれどなんだか地味…」なんて言わないでください。
『伝統』という素敵な花言葉を持っています。
至仏山と歩荷さん。
伝統と言えば、欠かすことのできないのがやはり歩荷さん。
背負子を背負い、湿原をひた歩く後ろ姿を見ていると何十年も昔の尾瀬にタイムスリップしたかのような気持ちになります。
ここでの暮らしを長きに渡り支えている 人の力 です。
エゾハルゼミの鳴き声が聞こえなくなったかと思えば 今度はコエゾゼミが鳴き始め、彼らの生命の営みが尾瀬の夏空に響いています。
よく「セミは短命だ。」「1週間しか生きられないなんて可哀そう。」などと我々人間は自分たちの物差しで憐れむ言葉を口にしますが、セミたちにとってはそれ以上でもそれ以下でもない彼らの一生です。
生きとし生けるもの、みなそれぞれ与えられた寿命のもとで懸命に生きるだけ。
私たちも同じです。
駆け足の季節は秋へ。
尾瀬で巡る命の物語りに 耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。
担当:佐久間