- 尾瀬沼ビジターセンターブログ
- 2022.09.03
2022年9月3日-尾瀬沼ビジターセンターより(草紅葉の様子と静寂に潜む生き物たち)
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◆尾瀬への入山にあたっては「安全登山のススメ」をご確認ください。
◆一ノ瀬公衆トイレが使用できなくなっておりますので、ご注意ください。
(詳しくはこちらのページをご参照ください。)
◆2022年(令和4年)シーズンの交通規制や各施設の営業予定についてはこちらのページをご参考ください。
【尾瀬Instagram投稿キャンペーン 写真募集中!】
2022年シーズン中に尾瀬国立公園内で撮影したお気に入りの写真をInstagramに「#尾瀬フォト2022」 とハッシュタグを付けて投稿してください。
詳しくはこちらのページをご参照ください。
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■天気:曇り
■気温:17.1℃(9時)22.0℃(昨日の最高気温)14.7℃(今日の最低気温)
朝霧を留めて眠る山裾の 鳥啼く人の声ばかりと思えば
(今朝は冷え込んで寒いから、燧ヶ岳もまだ眠いと言わんばかりに朝霧を留めて姿を見せない。
朝早くに鳥が鳴くように行き交う人の声が遠くまで響いているけれども。)
ブログをご覧の皆様、こんにちは。
今日は台風が近づいている事もあり「嵐の前の静けさ」でしょうか。
秋の虫の声や鳥たちの声がほとんど聞こえず、とても静かです。
最近、電話や来館で「草紅葉」についてのお問い合わせが少しずつ増えてきましたので、
まず「大江湿原の草紅葉の様子」をご紹介したいと思います。
草紅葉や木々の紅葉も少しずつ始まっていますが、見頃はまだまだ先です。
例年の見頃のピークは9月下旬から10月上旬と言われておりますので、
もう少々お待ちください。
次に静かに息を潜めている生き物たちの姿を少しご紹介したいと思います。
笹藪をみるとクモのような変わった生き物がいました。
「ザトウムシの仲間」です。
世界に6650種いることが知られており、日本には80種ほどが報告されています。
ザトウムシは、第二脚の最も長い足を前に伸ばして探りながら歩く様子が、
盲人が杖で歩く姿に似ていることから、「座頭(ざとう):江戸時代の盲人の階級の一つ」の名がつけられています。
ザトウムシに属する多くの種が雑食であり、昆虫、生物の死骸、植物、キノコなどを食べます。
夜行性のものが多く、昼間は植物に捕まってじっとしていることが多いそうです。
さらに公衆トイレの見回りをしていると、
なかなか見られない珍しい生き物がいました。
日本には、約35種のコウモリが生息しています。
また、尾瀬では約14種のコウモリが確認されております。
見た目や衛生的な問題で嫌われがちな生き物ですが、コウモリのほとんどは絶滅危惧種です。
口や鼻から超音波を出し、夜に飛ぶ昆虫を食糧にしています。
1頭のコウモリが1日に食べる虫の量は、蚊くらいの大きさの昆虫で約500匹を食べると言われています。
また野生のコウモリには、たくさんの病原菌が付着してる可能性があります。
素手で触ることは不衛生であり、感染症やアレルギーなどを引き起こすリスクがありますので
けして触らずそっとしておいてください。
見回りが終わり公衆トイレを出ようとすると、
また変わった大型のガを発見しました。
「ヒメヤママユのオス」です。
メスより小型で羽の暗赤色と黄土色がよく目立ち、
羽の外縁の曲がりが強いことが特徴です。
よく見るとフワフワしていて可愛いですね。
昔の映画に登場した「モスラ」そっくりで、
幼かった頃はなんでもかんでも大きなガを見たら、
よく「モスラだ!」とはしゃいでいたことをふと思い出して、笑ってしまいました。
日本ではチョウ目全体では6000種程棲息しており、
その中のガ類は約95%を占めていると言われております。
これだけ多くの種類がいることはエサとなる植物が多くあり、
環境が豊かであるということも知れます。
不快害虫の一つでもありますが、
尾瀬で見られる可愛いあの生き物の好物は
「ガの仲間」も入っています。
山小屋の窓から漏れる光に虫が集まり、
夜行性のヤマネが窓枠近くによじ登って両手でガを捉え、
器用に羽をむしり取って食べていたという話を聞きます。
夏はまだ、ヤマネの好きな甘い果実や花の蜜が得られるところも
限られているので、これらの昆虫はとても貴重な栄養であることが分かります。
最後に、私たち人間は残念ながら「美しいものは良い、醜いものは悪い」という
簡単な物差しで生き物たちを評価してしまいがちです。
これらを簡単に淘汰してゆけば、
たちまち生態系のバランスは崩れてしまいます。
生態系の土台になって生きている生き物にも目を当てて大切にすることもまた、
多くの生き物を守ることにつながり、私たちの生活を守ることにもつながります。
いくら生活が豊かで便利なものになってゆき、
自然とのつながりが希薄になってしまっていると言えど、
人間もまた、自然の一部であり自然が無ければ生きてゆけないのです。
どうか、見た目だけで判断せず尚且つ適度な距離を保って、
生き物たちとうまく接していただければ幸いです。
最後に9月から開催されている尾瀬沼ビジターセンターの「秋のイベント」をご紹介します。
★1「秋のおぜぬまビンゴ」
こちらは、現在開催中のイベントです。
尾瀬沼特製ビンゴ用紙をお渡ししますので、ビンゴを達成してください。
ビンゴされた方には、ビンゴ限定缶バッジを差し上げております。
参加費:無料
実施日:9月1日~10月15日まで
★2「秋の尾瀬からのお便り」
美しい尾瀬の思い出を綴ったり、普段お世話になっている方、気になるあの人へ、
尾瀬から「秋のお便り」を出してみてはいかがでしょうか(檜枝岐郵便局さんで、尾瀬の風景印を押してもらいます。)
参加費:ハガキ 100円(材料費として)
封筒と便箋 150円(材料費として)
実施日:9月1日~10月15日まで
★3「秋の星空観察会」
参加費:無料
実施日:9月19日(月・祝)、20日(火)、22日(木)、25日(日)、26日(月)、29日(木)
こちらは、夜のイベントになりますので、尾瀬沼地区に宿泊の方が対象となります。
上記日程以外に、10月にも星空観察会を計画しております。
【尾瀬沼の星空(7月撮影)】
ぜひ、尾瀬沼に訪れた際は秋の思い出作りに
尾瀬沼ビジターセンターへ足を運んでみてはいかがでしょうか。
それでは、明日のブログもお楽しみください。
*木道や施設を歩く際は、ストックにはキャップを付けましょう。
*体調に不安のある方や、自ら安全確保を行うことが難しい方の尾瀬への入山は控えましょう。
くれぐれも慎重な判断をお願いいたします。
尾瀬沼ビジターセンター