- 尾瀬沼ビジターセンターブログ
- 2020.10.05
2020年10月5日-尾瀬沼ビジターセンターより(ビジターセンター周辺の秋の観察)
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尾瀬への入山にあたってはこちらの注意事項をご確認ください。
また、環境省尾瀬沼ビジターセンターは、基本的な感染予防対策を実施したうえで、一部開館しています。
詳細はこちらをご覧ください。
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■天気:曇り
■気温:12.6℃(9時)16.2℃(昨日の最高気温)10.9℃(今日の最低気温)
ブログをご覧の皆様こんにちは。
明け方の雨で湿気が残る曇りの朝となり最低気温は10.9℃と昨日より5℃程暖かい朝となりましたが、陽差しがなく気温が上がりません。
先日の大江湿原ツアーに参加された野鳥好きさんから『最近は写真撮影より、できるだけしっかりと見て観察する事を重視しています。』とのお話を頂きました。
今日はビジターセンター周辺の秋をミクロに観察する事を心がけて見ました。
【エゾリンドウの紅葉】
尾瀬の最終ランナーを彩るエゾリンドウの紅葉が楽しめました。
【ハリブキの紅葉】
6月下旬から7月にかけ花を咲かせ9月に赤い実を付けていたハリブキですが、今は実を落とし黄葉しています。
ハリブキ(ウコギ科)は漢字で針蕗と表記し葉脈などに鋭い刺を持ちます。
画像を拡大して鋭い刺を観察してみて下さい。
ビジターセンターのミニツアーでの時々観察に登場していただく名脇役です。
【ウラナミシジミ】
ゴマナの花でウラナミシジミが翅を休めていました。
ヤマトシジミより一回り大きく翅裏の波状の斑紋の模様と橙色紋がかわいい蝶です。
ウラナミシジミは飛翔力が強く関東南部以南で発生し秋に東北地方まで分布を広げますが、残念ながら気温が低い尾瀬では越冬出来ません。
【ノアザミ(キク科)のロゼット】
既に種を付けた地上部を枯らし、ロゼット状の鮮やかな緑葉を観察できました。
様々な草本(多年草)がロゼット状で冬を越します。ノアザミをはじめこの時期に来春に向け冬越し準備がしっかりとなされてます。
尾瀬の冬の気温は-30℃を下回る事があり雪がないと地面まで凍ってしまいますが、積雪により地上部は0℃前後に保たれ無事に冬を乗り越えることができます。
【スミレ類の葉】
はっきりと同定できませんがスミレ類の葉が残っていました。
この辺りの木道沿いには6月頃にオオバタチツボスミレやツボスミレなどが花を咲かせます。
この後、スミレ類(多年草)は地上葉を枯らし地下茎の姿で冬を越し、春の雪解けを待って芽吹き花を咲かせます。
マクロな視点で紅葉を楽しむこともひとつですが、ミクロな視点でそれぞれの姿や生態を覗いてみることも大切にしたいと思います。
最後に大江湿原の定点観測写真をご覧下さい。
なお、体調に不安がある方や、自ら安全確保を行うことが難しい方の尾瀬への入山は控えて下さい。
くれぐれも冷静な判断をお願いいたします。
担当:齋藤