蛇紋岩(至仏山に珍しい植物が育つ理由とは)
- 時期 : 7月上旬~10月中旬
- 場所 : 山岳(小至仏山~至仏山の稜線上)
- 観察や学習の対象 : 地形・地質,
- 学習の目的や育てたい能力 : 概念解釈,実践,
解説
至仏山に登ると、山頂に近づくにつれて茶褐色の岩が現れます。
これが至仏山を形成している蛇紋岩です。
至仏山の蛇紋岩は古生代末期から中生代初期(約2億3000万年前)に形成された非常に古い岩石で、尾瀬では至仏山付近にしか分布していません。
本来は暗緑色の岩石なのですが至仏山では風化が著しく、表面が茶褐色になっています。
蛇紋岩という名前は、岩肌に蛇のような模様が見られることから命名されました。
■東面登山道の蛇紋岩。滑りやすいため通行には十分注意したい
蛇紋岩はケイ素とマグネシウムを含み、超塩基性の性質をもっています。蛇紋岩から溶け出すマグネシウムイオンは、植物の根からの吸水を鈍らせます。
このため、至仏山では他地域からの植物の侵入が難しく、蛇紋岩地に適応した植物が残されました。
こうした植物を蛇紋岩残存植物(オゼソウ、カトウハコベなど)、蛇紋岩変形植物(ホソバヒナウスユキソウ、シブツアサツキなど)といいます。
蛇紋岩は大変滑りやすいことも特徴のひとつです。至仏山登山の際には足元に注意しましょう。
■尾瀬の名前が付けられたオゼソウ