成長する湿原(植物がすみ分けている様子を観察してみよう)

解説

 尾瀬の湿原は泥炭の上に作られたものです。

 泥炭が積み重なりはじめた最初の段階は、積み重なる面が周りの地下水位よりも下か、それに近い状態だったり、場合によっては水中であったりします。

 このような湿原を低層湿原(低位泥炭地)と呼びます。

 ここには栄養に富んだ川や地下水が流れているため、背の高い植物が多く、主にヨシが多いためヨシ湿原と呼ばれることもあります。

 この他にもミズバショウ、リュウキンカ、サワギキョウなどが育ち、尾瀬沼の大江川河口周辺や浅湖湿原、尾瀬ヶ原の下ノ大堀川や六兵衛堀周辺などで見られます。

■常に水が溜まったような低層湿原ではミズバショウが見られる

 泥炭の積み重なりが進むとしだいに凸型に盛り上がり、周辺の地下水位よりも高くなります。ここでは雨や霧などの天水から栄養をもらうだけになり、乾燥や乏しい栄養に耐えることができる特殊な植物が育つようになります。

 このような湿原を高層湿原(高位泥炭地)といい、尾瀬ヶ原中央部のほとんどの部分が含まれます。

 この湿原ではミズゴケの絨毯の上にヒメシャクナゲ、モウセンゴケ、ツルコケモモなどが育ち、ミズゴケ湿原とも呼ばれています。

 また二つの湿原の中間の状態のものを中間湿原(中位泥炭地)といい、高層湿原のまわりや山すそに作られます。ここではニッコウキスゲ、ミズギク、ヤチヤナギ、ウメバチソウなどが私たちの目を楽しませてくれます。