ニホンジカ(声や湿原を掘り返した跡からニホンジカの存在を感じ取ろう)

解説

 9月下旬頃になると日は短くなり、5時頃には夕暮れの光が次第に弱まり、空気は急激に冷え込んで指先や肌が痛くなってきます。

 この時間帯に湿原へ出てみると、近くの森や遠くの湿原から「ピヨォーーーーーーーー」という甲高い悲鳴の様な声が聞こえてきます。

 これはラッティングコールと呼ばれる、ニホンジカの雄がこの時期に見せるなわばりと求愛を示す鳴き声なのです。

 ■植物を食べるためにニホンジカが湿原を掘り起こした跡

 ニホンジカは豪雪地域の尾瀬には夏場のわずかな時期にだけやって来るか、越冬する場所が遠方のために全く生息していないと考えられてきました。

 しかし、天敵の絶滅や少雪、里での生活場所が狭くなるにつれ、尾瀬で見られるニホンジカの数は増加傾向にあります。

 ニホンジカは食べた植物を反すうする(一度胃に送ったものを口に戻し、再び噛みつぶして別の胃に送る)ことで、湿原の植物や樹皮を食べることができるため、尾瀬の生態系を乱すことが問題視されています。

 最近では、ヌタ場という泥浴びや、ミツガシワ等を食べるために湿原を掘り返した跡があちこちでみられるようになりました。

 そこには足跡も残っていることが多いです。現在、環境省やボランティア団体がニホンジカの生息状況調査を行い、対策のためのデータを集めています。

◆動画による紹介(クリックすると表示されます)