- お知らせ
- 2014.10.30
「尾瀬を知るための現地講座」【片品村】を開催しました♪
平成26年度
「尾瀬を知るための現地講座」 【片品村】 を開催しました♪
平成26年10月25日(土)~26日(日)の二日間、群馬県利根郡片品村にて
「尾瀬を知るための現地講座」を開催しました。
主催は片品村振興公社(株)旅行部様で、当財団は企画協力という立場から
お手伝いをさせていただきました。
▲ 登山者を見守る「十二様」(大清水)
秋の日差しを受けて、厳かな雰囲気。
大清水登山口にひっそりと建つこの社に安全祈願をして、入山する。
◎ 1日目: 10月25日(土) 天気: はれ☀
14:15、参加者5名と財団スタッフ2名がロッジまつうら(※1)に集合。
片品村振興公社(株)の星野昌也部長、星野佳幸氏によるオリエンテーション
ののち、村内散策に出発しました。
秋晴れの空のもと、ガイドの松浦和男氏の案内で史跡をめぐります。
(※1) ガイドの松浦和男氏が経営するロッジで、ツアー参加者の宿泊先。
▲ 十二山神社(戸倉)
401号線沿いに佇むお社。
林業をなりわいとしていた村人に、守り神として祀られていた。
女性にとっては「良縁」「安産」の神であったという。
おこぜ(おこじょ)が十二様の御使いと考えられており、例えば、仕事に出掛ける
際、おこぜをみると「祟りがある(倒木の下敷きになったりする)と困るから、今日は
山に入るのをやめよう」というように、一つの指針とされていたそうです。
元旦などにお詣りするほか、茅葺き屋根の葺き替えの日取りや、村の役職などを
決めるのも十二様のお祭りの席だったとのこと。
一方で、戸倉区の入口にある「武尊(ほたか)様」には、作物を収穫すると一番に
お供えするといいます。家内安全の神様で、子どもが生まれるとお詣りするなど、
年間を通じて村の生活(行事)に溶け込んでいるお社です。
異なる神様をともに大事にお祀りする、昔からの習わしがうかがわれました。
参加者の方からの「神主さんは、いないの?」という質問を受けて「いませんよ」
と松浦氏。村の人がみんなでお世話をする、身近なお社なんですね。
続いて訪れたのは、旧戸倉分校跡。
▲ 学び舎に昔日をしのぶ「旧戸倉分校跡」
松浦氏自身が通っていた、初等学校の跡地。
ここで、おもむろに、古びた写真を取り出した松浦氏。
「これが、わたしです」
写真の少年と同じ目をして、当時を語ってくれました。
低学年(1~3年生)と高学年(4~6年生)、それぞれに先生が一人ずつ付いて
授業をおこなっていたこと。参加者の皆さまは驚きを隠せない様子でした。
最後に訪れたのは、「山遇楽(やまぐら)」です。
松浦氏みずからが収集した展示物(写真、木の実、糞、毛皮、剥製、樹木標本
など)に釘付けで、質問が飛び交いました。
樹木の標本を実際に手にとって、「キリ」の軽さと「カンバ」の類いの重さを比較
して、びっくりする方も。
▲ 昔の写真を前にして、解説に聞き入る参加者
松浦家は、尾瀬に荷を運ぶ「馬方(うまかた)」の元締めを担っていた。
電話も無線も無かった当時、悪天候による団体客のキャンセルを山小屋に
知らせるため、激しい雷雨のなかでも尾瀬ヶ原まで駆けた話など、松浦氏の
言葉には苦労がにじむ。
松浦氏が80㎏以上の荷を負って戸倉と尾瀬を毎日往復していた話、最高で
一日に5往復したことがあると聞き及び、参加者の方からは驚きの声が上がり
ました。
こうして一日目の行程は終了。その夜は全員、「ロッジまつうら」に宿泊。
温泉につかって温まったあとは・・・、お待ちかね。
地元の食材をふんだんに使った夕膳に舌鼓を打ちます。
▲ 夕膳
そして、今回のツアー特典の1つが、こちら。
▲ 花豆アイス
片品村の名産「花豆(はなまめ)」を使ったスイーツ、「花豆アイス」です。
パッケージにも、主催者の、おもてなしの心が・・・
とても優しい味でした。あずき(あんこ)好きには、たまらないかも知れません!
「JA利根沼田片品支店」および「花咲の湯」にて、販売しているそうです。
ぜひ一度、お試しあれ。
◎ 2日目: 10月26日(日) 天気: はれ☀
前日と同じく、爽やかな秋空。
7:00に朝食です。
▲ 朝食
8:00に大清水に向けて出発しました。
その途上も、松浦氏からは道沿いに残る史跡について、解説をしていただきました。
▲ カラマツ林
カラマツ林を抜けて進むと、道路脇に朽ちた木片が・・・。
昔の「日光国立公園」の標識です。
いつもなら、バスやマイカーで素通りしてしまう場所にも、歴史を語るものが残されて
いました。
8:40、大清水入山口に到着。
準備体操を済ませて、トレッキング開始です。
▲ 砂利道と旧道の、分かれ道
歩いたルートは、会津沼田街道(旧道)のうち、大清水~一ノ瀬まで(片道、約3㎞)。
尾瀬沼への道行きとして、普段は砂利を敷き詰めた道路を歩きますが、その砂利道に
平行して「旧道」があります。往路はこの旧道を進みました。
紅葉のなか、巨木に囲まれた道が、私たちを静かに迎えてくれます。
土の上には、まだ新しいニホンジカの足跡。樹上には、クマ棚。ゆっくり歩を進めると、
そこに息づくものたちの「フィールドサイン」に気づかされます。
11:10頃、一ノ瀬休憩所前に至りました。
ここで、お昼ごはんです。
ロッジまつうらのお弁当に加えて、サプライズが!!
松浦氏がその場で手早くキノコ汁を作り、ふるまってくれました。ナメコ・シイタケ・ムキタケ
の3種類が入った、豪華なお味噌汁。
思わず「おかわり」をいただきたくなる、おいしさでした。
おなかもこころもいっぱいになった、参加者の皆さま。
元気に、復路の砂利道を、大清水まで戻りました。
群馬県による、大清水~一ノ瀬間の低公害車両試験運行の話題について、質問
の声も上がり、来年度からこの道路を車両が営業運行する予定であることを知って
「じゃあ、いいね。バッチリだ」と顔をほころばせる方もいました。
大清水口から、尾瀬沼が近くなる。そんな実感が、わいてきたのかも知れません。
砂利道の単調さに触れて、
「今まで知らなかったけど、あんなに素敵な旧道があるなら利用したい」という
ご意見も寄せられました。
13:15、無事に大清水口に到着、記念撮影ののち、ロッジまつうらに戻って解散
の運びとなりました。
最後のミーティングの席で「おみやげ」に手渡されたのは、真っ赤なりんご(片品村
名産の「陽光」「あかぎ」が3個ずつ)。ツアーの特典に、皆さま、大喜びでした。
参加をいただいた皆さま、主催者である片品村振興公社(株)旅行部の星野昌也部長、
星野佳幸氏、ガイドの松浦和男氏に深く感謝申し上げます。
当財団では、今後も精力的に、まだ一般にあまり知られていない尾瀬の魅力を発信して
まいります。
※平成26年度「尾瀬を知るための現地講座」【片品村】 の実施概要については、こちら
をご覧ください。