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  • 山の鼻ビジターセンターブログ
  • 2022.10.20

2022年10月20日ー山の鼻ビジターセンターより(尾瀬ヶ原のふしぎ2)

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尾瀬への入山にあたっては「安全登山のススメ」をご確認ください。

2022年(令和4年)シーズンの各施設終了予定についてはこちらのページをご参照ください。
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■ 天気:晴
■ 気温:計測不能 -℃(最高気温)-℃(最低気温)

氷点下の早朝、銀色に輝く霜に覆われた幻想的な光景が広がっていました。

【研究見本園の池溏に映る至仏山】

【霜柱】
9時過ぎ、明るい陽ざしが冬ごもり前の尾瀬ヶ原を照らし出していました。

【尾瀬ヶ原中田代】

今シーズンも残りわずかとなり語りつくせない尾瀬ヶ原のふしぎですが、その第2弾をお届けします。
竜宮十字路からヨッピ吊り橋方向に500mほど進むと、右手に大きく窪んだ傾斜地が現れます。
崖状の急斜面はかつての川が大地をえぐった蛇行跡で、現在は湿原の中にとりこまれ斜面だけが残っているのです。空中写真で見ると馬蹄形の旧流路が「ひの字」に見えます。

【木道から見た急崖】

【空中から見たひの字】

湿原の表面には高さ20~30cmの細かな起伏があります。細長い凹地(シュレンケ)と凸地(ケルミ)が畝状に並んでいるものもあり湿原のシワのようです。
紅葉の時期には生えている植物の違いによって色が変わり観察しやすくなっています。色の濃いところがシュレンケ、薄いところがケルミです。

【湿原のシワ】

栄養も水分も乏しい高層湿原に生える植物の代表がミズゴケ類です。
日本では40種類ほどあるとされていますが、同一種でも生育環境の違いによって色彩、外観が変化するため研究者がルーペを使用しても識別ができないそうです。
ミズゴケの仲間は、枝葉にある空洞になった透明細胞の中に多量の水分を蓄えることができます。またミズゴケ類は密生するため、個体同士の狭い隙間に毛管力によって水を貯めます。

【尾瀬ヶ原のミズゴケ類】

第4次尾瀬総合学術調査により尾瀬ケ原の中田代では、この50年間にヤチヤナギ群落の面積が大幅に拡大していることがわかりました。増加した原因はいまのところ不明です。
ヤチヤナギはヤナギ類ではなく、夏に甘酸っぱい実が成るヤマモモの仲間です。寒冷地の湿地に生える落葉低木で5~6月に葉が出る前に穂状花序を出します。株全体に芳香がありストレスを軽減する効果や抽出成分には抗酸化性と美白性があるそうです。
根粒により大気中の窒素を固定し栄養にするため、貧栄養の湿原でも生育することができます。この窒素固定能により、環境の富栄養化をもたらす可能性が指摘されています。

【花期のヤチヤナギ】

【今朝のヤチヤナギ】

汗をかいたままにしていると、急激に冷えて体温が奪われてしまいます。汗の処理や衣類による調節を上手にしながらハイキングを楽しみましょう。

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◎朝晩はかなり気温が下がります。防寒着(雨対策も)を忘れずに携行しましょう。
◎雨や霜で濡れた木道はかなり滑ります。特に鳩待峠~山ノ鼻の下りはご注意ください。
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尾瀬山の鼻ビジターセンター 田原

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