- 尾瀬沼ビジターセンターブログ
- 2021.07.31
2021年7月31日-尾瀬沼ビジターセンターより(野分過ぎて花移ろふ)
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尾瀬への入山にあたってはこちらの注意事項をご確認ください。
また、環境省尾瀬沼ビジターセンターは、基本的な感染予防対策を実施したうえで、一部開館しています。
詳細はこちらをご覧ください。
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■天気:曇り一時雨
■気温:18.1℃(9時)19.7℃(昨日の最高気温)13.9℃(今日の最低気温)
野分ゆき 空けて帰れど知らぬ顔 移りける花ぞ短し
(台風が知らない間にどこかに行ってしまい、しばらく尾瀬にはいなかったけれど
帰ってきたら知らない顔が並んでいる。何とも花の移り変わりは早いものだ。)
ブログをご覧の皆様こんにちは。
台風8号の大きな被害もなく休暇から帰ってくると、
尾瀬の花の移り変わりが早くて、いつも驚かされます。
大江湿原を彩っていたニッコウキスゲは実を結び
来年度に向けての準備をしておりました。
「花が何もなくて残念だね」と登山客の方から聞くこともありますが、
よく目を凝らすと変わったお花の群落が見えます。
尾瀬ヶ原にそびえ立つ至仏山には「ムラサキタカネアオヤギソウ」
が咲いておりますが、こちらのお花はその仲間です。
なかなか至仏山に登ることができないという方でも
身近に感じることができます。
草丈が高くなった湿原を風が渡り涼んでいる中、
色鮮やかなオレンジの「コオニユリ」も見られます。
夏と言えば、「夏休み」。
夏休みの自由研究などで困っている際は
自然観察もオススメです。
夏は特に目をよく凝らしてみると
こんな生き物たちが見られます。
逆さでお尻が隠れており分類することが難しかったのですが、
おいしそうに食事をしてました。
撮影するときは人はもちろん生き物にも
ぶつかったりしないように気をつけて
そっと見守ってあげましょう。
次に変わった生きもの「アワフキムシ」がいます。
実はこの虫はカメムシの仲間。
水辺ちかくにいることから
昔はホタルの幼虫だとも言われておりましたが光もしません。
気になるこの泡ですが、
幼虫が自分の身を守るために排泄物を泡立てて作った巣です。
また、この虫は植物の導管液(植物が根を通して摂取する土壌からの
栄養分やミネラルが溶け込んだ液体)を茎から吸って生きています。
農家では植物の枯死を引き起こす
ピアス病菌を媒介する困りものでもあります。
尾瀬で見ている限りは、
植物がだめになってしまうという被害が出ていませんが、
愛らしい顔をしている一面、恐ろしいところもあるのですね・・・。
そして、どの生きものでもそうですが
撮影した後に「お邪魔してごめんね、ありがとう。」
「また会おうね。」と感謝の気持ちを伝えると
よりぐっと生き物との距離が近くなる気がします。
そして、もっと生き物のことをはじめ、
もっと尾瀬を知りたい!と思ったらぜひ「尾瀬沼ビジターセンター」へ。
尾瀬の動植物をはじめ自然保護の歴史や取り組みなどの様々な展示、
職員による自然観察会イベントなどを毎日行っていますし、
分からないことがあればぜひ聞いてみて下さい。
天候の良い日は気温が上がりますので熱中症対策しっかりと実施し、
午後は天気が崩れて雷雨となることもありますので雨具を用意するなど十分ご注意下さい。
最後に、体調に不安がある方や、自ら安全確保を行うことが難しい方の尾瀬への入山は控えてください。
くれぐれも冷静な判断をお願いいたします。
尾瀬沼ビジターセンター