- お知らせ, 活動報告
- 2014.10.30
「尾瀬を知るための現地講座」 【檜枝岐村】 を開催しました♪
平成26年度
「尾瀬を知るための現地講座」 【檜枝岐村】 を開催しました♪
平成26年10月18日(土)~19日(日)の二日間、福島県南会津郡檜枝岐村にて
「尾瀬を知るための現地講座」を開催しました。
▲ 秋の日差しを浴びる「六地蔵」
飢饉の際に「まびき」をされた稚児たちを悼んで築かれたもの。
道端にたたずむ六体の像が、悲しい歴史を静かに伝えています。
◎ 1日目: 10月18日(土) 天気: はれ☀
14:30に、参加者5名と財団スタッフ3名が檜枝岐村役場前に集合。
穏やかな秋の日差しの中、村民ガイドの星俊秀氏の案内により、村内に点在する
史跡をめぐりました。
穀物を保管する「板倉(いたくら)」は、火事の際に火の手が及ばぬ場所(住宅から
少し離れた畑のなかなど)に建てられたといいます。
この建物は厚さ10㎝ほどの板を「井」の字のかたちに組み合わせる工法(せいろう
造り)で築かれており、釘も柱もいっさい使われていません。奈良の正倉院と同じ造り
だと聞き、参加者の皆さんからは「ほお・・」と感嘆の声が漏れました。
▲ 貴重な工法の「せいろう造り板倉」(檜枝岐村指定文化財)
高倉宮以仁王(たかくらのみや もちひとおう)が喉をうるおしたとも言われる
「安宮清水(あんきゅうしみず)」では、参加者の皆さまも実際に湧き水を口にして
「甘くて美味しい」「もっとPRしたら?」など、感想をいただきました。
この清水を雨風から守る屋根は「木羽(こば)屋根」といい、ネズコ(別名:黒檜)で
葺かれているとのこと。ガイドの俊秀氏が「村内で唯一残る、貴重なもの」と語って
くれました。
▲ こんこんと湧く「安宮清水」
清水の由来とあわせて、「こば屋根」について解説を聞く。
続いて、歌舞伎伝承館にて「歌舞伎化粧」を実際に体験した参加者の皆さま。
座長の星正徳氏の指導のもと、白粉を塗っていきます・・・。
さあ、見得を切って!
▲ きつねのポーズ
「自分じゃないみたい」「思ったほど、ベタつかない」など、つぶやきが聞こえました。
◎ 2日目: 10月19日(日) 天気: はれ☀
8:00に檜枝岐村役場前から路線バスに乗車し、8:50に沼山峠に到着。
ガイドの平野志津男氏に先導いただき、9:05から散策を開始しました。
歩いたルートは、会津沼田街道(旧道)のうち、沼山峠~七入まで(約5.6㎞)です。
この古道は「道行沢(みちぎざわ)」と呼ばれています。
ミチギとは「獣の足跡」をいい、クマなど獣が通った道は雪崩などの危険がないため
安全を確保できるとして、人々に利用されていた「歩きやすい沢」です。道迷いを防ぐ
ために木に目印(道標)をつけることを「ミチギ」「キリツケ」とも言うようです。
狩り、ヘラづくりなどの山仕事のために人の往来があったそうですが、今は林内の
静けさに、その昔をしのぶばかりです。
ちょうど紅葉が見ごろを迎えた山のなかを、足もとに散り敷く落ち葉を踏み分けながら
歩を進めます。
ニホンジカのラッティングコール(※1)が響くと、鳴き声を初めて聞いたという参加者の方
からは「鳥の声みたい」という感想が。
それを受けて、ガイドの志津男氏から、近年、ニホンジカの食害が尾瀬でも深刻になって
いることなどが伝えられました。
(※1)
発情期を迎えたオスジカの鳴き声。
メスジカへの求愛行動であり、縄張りを宣言するものでもある。
ときどき足を止めて写真を撮る方、下りの山道の歩き方(「靴底をフラットに接地するよう
に」)を志津男氏に教わる方。思い思いに、秋晴れの半日を満喫していただけたようです。
4回ほどの休憩を挟み、13:30に七入山荘前に到着しました。
参加をいただいた皆さま、ガイドの星俊秀氏、平野志津男氏、また、企画段階から協力を
いただいた檜枝岐村役場企画観光課長の安達秀也氏、尾瀬檜枝岐温泉観光協会事務局
長の平野順二氏に深く感謝申し上げます。
当財団では、今後も精力的に、まだ一般にあまり知られていない尾瀬の魅力を発信して
まいります。
※平成26年度「尾瀬を知るための現地講座」【檜枝岐村】 の実施概要については、こちら
をご覧ください。
(参考) 檜枝岐村について
尾瀬の福島県側の入山口に位置する檜枝岐村は、人口600人余りの山村です。
平家の落人伝説が今に伝えられ、村民の大半が「平野」「星」「橘」の三姓のいずれか
を名乗っています。
名物の「裁ちそば」(※2)や「はっとう」(※3)、をはじめ、山の幸(山菜やイワナ、サン
ショウウオなど)が豊かです。
また、村民みずからが役者となって演じる「檜枝岐歌舞伎」は、その伝統が現代にまで
綿々と受け継がれています。
(※2)
そば粉だけを使って(つなぎを入れず)布を裁つように切る(打つ)ことから、
こう呼ばれています。
(※3)
そば粉と小麦粉を混ぜてつくった餅に、エゴマと砂糖をまぶしたもの。
あまりのおいしさに、時の領主が「ハレの日以外に食べることは『御法度』だ!」と
言い渡したことから、その名がついたと言われます。