安全な尾瀬登山のために
尾瀬は自然観光地として有名ですが、山岳地である認識が薄いため、中高年層を中心とした傷病事故が多く発生しております。 尾瀬には医療機関がないため、こうした事故には山小屋を中心とした救助隊が出動していますが、その対応には多くの労力と時間が費やされます。 尾瀬を利用する際には、低い山だから、日帰りだから、今まで何もなかったから、大勢で行くから、ツアーだから、自分は大丈夫、自分に限ってなどといった安易な考えをしないで、余裕のある計画と装備でいらしてください。 思ったよりも尾瀬での傷病事故は多く、木道上での転倒事故や、体力不足による歩行困難な傷病事故が発生しております。 尾瀬登山の際には十分な準備と、余裕のある行動計画でいらしてください。尾瀬歩きの服装
基本はシンプル・イズ・ベスト!もう一度、自分の装備を見直してみよう
登山靴はどんなものがオススメ?
濡れた木道は滑りやすい! フルシーズンの尾瀬ヶ原や尾瀬沼の周辺だけの工程であれば、運動靴でも歩けます。 ただし、基本的に軽く、靴底がやや柔らかく、溝が深いものが尾瀬には適しています。濡れた木道は滑りやすく、靴底の硬い登山靴ではしっかり噛み込むことができないからです。 しかし、至仏山や燧ケ岳といった山道を歩くのであれば、運動靴のような柔らかいものを履くと、足場が不安定な所や、蹴り込みが必要な残雪歩きで大変苦労します。 このような場合は、足首をしっかりとガードしてくれるミドルカットやハイカットの靴を選ぶことが必要です。転倒時の足首捻挫を防ぎ、長時間の歩行を楽なものにしてくれます。また、実際に登山用品店で時間をかけて履いてみることも大切なことです。 ここは要チェック! 最近では古くなった靴底が剥がれてしまい、木道上に点々とゴミとなって散らばるということも頻繁におきています。出発前に靴の状態をよく確認しておきましょう。歩くときの服装は?
速乾性の下着を選ぶ!山では重ね着が基本! 綿は汗を良く吸うために町中では快適です。しかし乾きにくいため、登山中の汗をかいた後では体が冷えて体力を消耗します。 このため、登山に最適な衣服としては化繊やウールなどが良いとされています。最近では比較的安価なTシャツで速乾性のものも手に入るようになりました。 また、登山には長袖シャツが適していると言われますが、これは夏でも気温が低かったり、直射日光の強い登山中の話で、この服装で町中を駅まで歩いたのでは大汗をかいてしまいます。 大切なことは最低量をコンパクトにまとめ、重ね着で体温調節をすることなのです。雨対策
雨具は必須!
尾瀬は雨の多い場所です。雨の中で快適に余裕をもった行動をするには、雨具やザックカバーが必須です。
特に雨具は上下で分かれたセパレート型で、高価ですがゴアテックスなどの防水透湿素材のものを選びましょう。
頭から被るポンチョ型雨具では、山の強い風雨時に吹き込まれてしまいます。購入時には試着をして、中にセーターやズボンを着られるかの確認をしてください。
また、濡れては困る着替えなどはビニール袋に入れておくことも忘れずに。
雨の日も快適に
意外と重要な装備 - 帽子
帽子は日射病予防や、木の枝や岩角などから保護する役割もあります。つばの広い帽子は、降雨時に頭や顔を濡らさない役目も果たしてくれます。 また頭は身体で最も発熱量が多いため、秋~春先など寒い時には防寒具としても重要です。 帽子には様々な形・素材があり1つで全てに対応できません。季節やコースに合った選択をしてください。持ってゆくと便利な小物
必要最低限で軽くする! ヘッドランプ、ライター、ビニール袋、ガムテープ、スタッフバック、高度計付き腕時計、ウエットティッシュなど非常用に備えると便利な小物はたくさんありますが、基本はシンプル・イズ・ベストです。 あれも必要、これも必要と考えすぎて、かえって重い荷物でバテてしまうことのないように注意しましょう。 フルシーズン中に尾瀬ヶ原や尾瀬沼だけを歩くのであれば、比較的、食料や飲み水の確保は容易です。 まず、自分にとって何が山で必要なのかを考え、余分な物で荷物を重くしないよう注意しましょう。 ここは要チェック! 尾瀬内は携帯電話の通話エリア外です。至仏山や燧ヶ岳、アヤメ平等の稜線部分で通じることもありますが、ザックに入れて持ち歩く際には電源をOFFにし、いざという時に電池が切れないよう注意しましょう。緊急時は最も近い場所にいる仲間が助けることが基本ですが、その後の対応については最寄りのビジターセンターや山小屋・休憩所に連絡を取ってください。 また、「迷った時には携帯で連絡を・・」ということが出来ませんので団体ツアーであっても各自がその日のコースをしっかり把握している必要があります。尾瀬を安全に歩くコツ
小さな歩幅でマイペースに
歩幅を大きくするには、後ろ足で強く蹴ることが必要です。しかし、この歩き方ではふくらはぎの負担が大きく、疲労しやすくなります。 歩行時には歩幅を小さく、重心を静かに移動させながら、体力を消耗せずに歩くことがバテないコツです。 また、着地する場所を良く見て、靴底をフラットにして歩きましょう。マイペースとは言うけれど・・・
気持ちいい稜線や、アプローチの林道では自然と足の進みが早くなります。 これがマイペースだからと過信して歩くと、山歩きの終盤でバテてペースダウンしてしまいます。 本当のマイペースとは自分の体力と、行程を見合わせて、歩ききれるペースを守ることなのです。 「少し自分にとっては早いペースだな」と感じたら、息切れしない程度にペースを抑えて歩きましょう。登りは体力、下りは技術
登りは体力の消耗を考えながら山頂に立つことができます。 しかし、下りでは恐怖感や、傾斜や段差での足の運び方で負担が大きく違うために、技術の差が出てしまいます。 傾斜や段差が怖くて、次に踏み下ろす場所の確認もせずに、思い切ってドスンと下りることは疲労を早めるばかりか、転倒、落石など次の危険を生む場合があります。下りでダメージの少ない歩き方1
案外と忘れてしまうのが視力です。 メガネで視力を補うと、次の足を置く場所の状況を素早く判断できます。 また荷物の軽量化を図り、足の負担を軽くすることも大事な技術のひとつです。 実際の下りでは、木の幹や岩角などを支えにしたり、木道に設置された横木に滑り止めにしたり、落差の大きな所では横向きや後ろ向きに下るなど、小さな積み重ねが足の負担を軽くします。下りでダメージの少ない歩き方2
最近では多くの登山者が使うようになったストックですが、ストックは足への加重を腕にも分散できるため、登り下りで脚力を補ってくれる他にも、バランスを保つ役割もあります。 しかし、使い方には練習が必要で、あくまでも脚力補助のものですから、歩き方の基本ができないのにストックを使って上手くなるというものではありません。 まずは重心を静かに移動させる、基本的な歩き方をしっかりと身に付けましょう。 またストックをむやみに振り回すことは他の登山者に危険ですし、先端にゴムのキャップを付けずに登山道や木道を必要以上に突き刺すと、歩道が早く痛んでしまうので注意しましょう。歩行時間と休憩時間
50分歩いて10分休憩を取るのが一般的で、リズムを崩さずに山歩きができると思います。 もちろんコース中に休憩場所がなかったり、急登や重荷など状況によっては、30分歩いて5分休憩といったように、間隔を短くした方が良い時もあります。 行動時間を1時間単位で区切り、こういったリズムを作ることが、自分自身のペースを守ることにもつながるのです。休憩時間の上手な使い方
登山中の休憩はザックを放りだして、座り込みたいと思うかもしれません。 しかし、座り込む前にわずかな体操をするだけでも、緊張した筋肉をほぐしリラックスした休憩を取ることができます。 また、寒ければ重ね着をしたり、水分を補給したり、地図で現在地を確認したり、ザックや登山靴の具合をみたりと休憩時間にすることは様々です。ザックの背負い方
学生がリュックサックの肩ひもを、(これでもか)と緩めてお尻のあたりで背負っているのを見かけたことがあります。 これでは町中では快適でも、登山中は荷物の負担が肩だけにかかってしまい、備え付けられたベルトやストラップが無意味になってしまいます。 できるかぎり身体にフィットするようベルト類を調節することが重要です。 また調節しても、同じ場所で長時間背負っていては、疲労が増してきますので、歩きながら少しずつ調節することが必要です。登山届けを書いて入山しよう
一番大切なことは、同行しない家族や友達にいつ、どのルートでどこに行くかといった計画を伝えておくことです。 また、尾瀬にはいくつかの登山口がありますが、群馬県側の登山口では片品村役場、福島県側の登山口では南会津警察署が登山届けの届け先となっています。 群馬県側・福島県側の登山届けはインターネット経由でも出すことができます。尾瀬の傷病事故統計
- 令和5年度 年別傷病事故発生統計
- 令和4年度 年別傷病事故発生統計
- 令和3年度 年別傷病事故発生統計
- 令和2年度 年別傷病事故発生統計
- 令和元年度 年別傷病事故発生統計
- 平成30年度 年別傷病事故発生統計
- 平成29年度 年別傷病事故発生統計
- 平成28年度 年別傷病事故発生統計
- 平成27年度 年別傷病事故発生統計
- 平成26年度 年別傷病事故発生統計
- 平成25年度 年別傷病事故発生統計
- 平成24年度 年別傷病事故発生統計
- 平成23年度 年別傷病事故発生統計
- 平成22年度 年別傷病事故発生統計
- 平成21年度 年別傷病事故発生統計
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- 平成11年度 年別傷病事故発生統計
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- 平成9年度 年別傷病事故発生統計
- 平成8年度 年別傷病事故発生統計