池塘に浮かぶま~るい葉(池塘に咲く花々のすみ分けを調べてみよう- オゼコウホネ、ヒツジグサ)
- 時期 : 7月~8月
- 場所 : 湿原の池塘(見本園、上田代)
- 観察や学習の対象 : 植物,
- 学習の目的や育てたい能力 : 観察,分類する,比較対照,
解説
池塘に葉を浮かべているヒツジグサとオゼコウホネ。
両種の違いは花をみれば一目瞭然ですが、葉の形はよく似ているのでじっくり観察してみましょう。
見分けるポイントは形と葉脈です。よく見るとヒツジグサは円形で葉脈が中心から放射状に伸びているのに対し、オゼコウホネは楕円形で中心の主脈から左右に対になって伸びています。研究見本園では同じ池塘に両方が生育しているので見比べてみてください。
両種は池塘の深さですみ分けをしていると言われています。
ヒツジグサは水深1m前後、オゼコウホネは水深1.5m前後ということですが、実際に尾瀬ヶ原を歩いてみると、池塘で見られるのはヒツジグサばかりでオゼコウホネはなかなか見つけられません。
■ヒツジグサ。葉脈が葉の中心から放射状に伸びる
■柱頭盤が赤いのが特徴のオゼコウホネ。
ヒツジグサと比べて楕円形で、中心の主脈から左右に葉脈が伸びる
最近ではオゼコウホネが減ったという話も聞かれています。
その理由は池塘の深さが変化したのか、はっきりとした原因は分かっていません。
上田代北側の背中アブリ田代では、オゼコウホネの咲く池塘が多くみられますが、ここもいずれはヒツジグサに埋め尽くされてしまうのでしょうか?
植生の変化も自然の移り変わりの一つであり、現在のようすが永遠に続くことはありえません。
しかし、その変化が人間の影響によるものであれば、尾瀬の自然への影響を少しでも減らす努力が必要です。尾瀬に限らず、こうした変化を感じられるよう身のまわりの自然にも目を向けましょう。
■ヒツジグサとオゼコウホネの葉。見分けがつくかな?