蛇紋岩(至仏山に珍しい植物が育つ理由とは)

解説

  至仏山に登ると、山頂に近づくにつれて茶褐色の岩が現れます。

 これが至仏山を形成している蛇紋岩です。

 至仏山の蛇紋岩は古生代末期から中生代初期(約2億3000万年前)に形成された非常に古い岩石で、尾瀬では至仏山付近にしか分布していません。

 本来は暗緑色の岩石なのですが至仏山では風化が著しく、表面が茶褐色になっています。

 蛇紋岩という名前は、岩肌に蛇のような模様が見られることから命名されました。

■東面登山道の蛇紋岩。滑りやすいため通行には十分注意したい

 蛇紋岩はケイ素とマグネシウムを含み、超塩基性の性質をもっています。蛇紋岩から溶け出すマグネシウムイオンは、植物の根からの吸水を鈍らせます。

 このため、至仏山では他地域からの植物の侵入が難しく、蛇紋岩地に適応した植物が残されました。

 こうした植物を蛇紋岩残存植物(オゼソウ、カトウハコベなど)、蛇紋岩変形植物(ホソバヒナウスユキソウ、シブツアサツキなど)といいます。

 蛇紋岩は大変滑りやすいことも特徴のひとつです。至仏山登山の際には足元に注意しましょう。

■尾瀬の名前が付けられたオゼソウ