尾瀬ヶ原に1800個あるもの(形を見るとどうやって作られたのかがわかります - 池塘)

解説

 湿原には沢山の池があります。この池は池塘と呼ばれ、大きなものや小さなもの、深いもの浅いもの、形が細長く岸辺が滑らかなもの、凸凹で複雑なものなどさまざまです。

 風の無い日にはまわりの山を映し込み「逆さ燧」が見られたり、近づいて中をのぞき込むと、ヒツジグサやオゼコウホネなどの水草が、わたしたちの目を楽しませてくれます。

 尾瀬ヶ原に点在する池塘は数え切れないほどですが、最近の調査(金井1998)では約1,800個あると報告されています。

■曲玉のような形をした中田代の池塘

 池塘の作られ方にはふたつの成り立ちが考えられています。

 ひとつは比較的大型で細長く、岸辺が滑らかな池塘(曲玉型または染色体型と呼ばれます)で、これは蛇行する川から切り離された三日月湖が元だと考えられています。

 もうひとつは岸辺が複雑で大きさもまちまちな池塘で、これは湿原にできた細長い凹地(シュレンケと呼ばれます)に水が溜まり、その部分の泥炭の積み重なりが遅くなる一方で、まわりの凸地が通常通りに積み重なり、凹地がやがて池になったと考えられています。

 凹地の幅は傾斜が平坦な所ほど幅が広くなる傾向があり、このことが池塘の大きさに反映されています。

■中田代の空撮写真。黒い水玉状に見えるものが曲玉状の池塘。
画面中央やや下には細長い凹地状の池塘も見られる