ミズバショウの役割(意外と知られていない尾瀬のミズバショウの役割を調べてみよう)

解説

 尾瀬と言えばミズバショウ。尾瀬ヶ原を埋め尽くすミズバショウの風景は誰しもがイメージする尾瀬の姿ではないでしょうか。

 しかし尾瀬を実際に訪れてみると、ミズバショウは湿原のどこにでもあるわけではないことがわかると思います。

 ミズバショウは水の流れで種を運び、川沿いで芽を出すという子孫の増やし方を行っているので、湿原でも水っぽい場所に生育しています。

 川沿いから離れた湿原で見られるミズバショウも、雨で増水した際に種が流されて発芽したものなのです。

■川沿いで多く見られるミズバショウ

 ミズバショウの見頃は5月下旬から6月上旬頃です。

 この時期の尾瀬を訪れたら木道近くのミズバショウをじっくり観察してみましょう。

 白い花びらに見えるものは、がくと呼ばれる葉が変形したもので、本当の花は中心で黄色く棒状に付いた一つ一つなのです。

 がくはこの花を守りながら、虫を誘うために目立たせる役割があると考えられています。

 花が終わる頃には葉がぐんぐん生長して、時には1m以上になりますが、これは川沿いや山際の豊富な栄養分によって大きくなったものです。

 この大きな葉がバナナの葉に似ていることから、バショウという名前が付けられています。

 また、洪水でも水がやってこないような場所でミズバショウを見つけることがありますが、それはミズバショウの実を食べたツキノワグマがフンをして、そこに混ざった種が発芽したものと考えられます。

 ミズバショウはツキノワグマの食料となり、代わりに新たな生活場所へと運んでもらっています。

 尾瀬の生き物がつながっていることを改めて感じさせてくれます。

■ミズバショウ。花は白い苞に包まれ、守られるようにして咲く