尾瀬に降る黄金色の針(おなじみの樹にもこんな不思議が・・・ - カラマツ)

解説

 針葉樹といえばスギやヒノキのように常緑ですが、カラマツは国内では唯一落葉する針葉樹です。

 カラマツは落葉前になると葉が黄色に変わり、秋空のひときわ鮮やかな青空の中で黄金色に輝いて見えます。

 日本各地のカラマツは植林されたものが多くありますが、尾瀬のカラマツの多くは天然のものです。

 直径が1m以上にもなる大木もあり、幹にできた大きな洞はツキノワグマが冬眠に利用することもあります。

■10月中旬の大江湿原三本カラマツ。冬間近のモノトーンの湿原でひときわ映える

 大江湿原にある「三本カラマツ」は、小高い丘に3本のカラマツが寄り添うように立っている尾瀬沼畔のシンボル的な存在ですが、この三本カラマツの生えている丘にはある伝説が残されています。

 「宇治川の戦い」で平家に敗れた高倉宮以仁王(たかくらのみやもちひとおう)が越後へ逃げのびる途中、尾瀬沼に立ち寄りました。

 そこでの滞在中に尾瀬中納言藤原頼実が病死してしまい、その亡骸を埋葬したのが「尾瀬塚」、つまり現在の三本カラマツの丘であるといわれています。

 また、尾瀬大納言藤原頼国の弓の練習場であるとの伝説もあり、「尾瀬様の的場」と呼ばれる事があります。