湿原で見られる帯状の森(湿原に森ができる理由を考えてみよう - 拠水林)

解説

 燧ヶ岳や至仏山から尾瀬ヶ原を見下ろすと、湿原に濃い緑の帯状の模様を見ることができます。

 尾瀬ヶ原を歩いた経験のある方は、この帯が林であることがわかると思います。

 もう少し観察したり記憶をたどってみると、林の中には川が必ず流れていることが確認できると思います。

 山ノ鼻から歩いた先にある川上川・沼尻川・六兵衛堀などにそれを見ることができます。

■尾瀬ヶ原を帯状に広がる拠水林

 なぜ、湿原にこのような林ができたのでしょうか? 

 実はこれらの川の岸辺には上流から運ばれてくる山からの土砂が溜まります。

 これが背の高くなる木をしっかりとささえ、また土砂が栄養に富んでいるため川筋にだけ林ができるのです。

 この林のことを水を拠り所にする林という意味から「拠水林」と呼んでいます。

 拠水林にはハルニレ、ダケカンバ、サワグルミ、オノエヤナギなどの高木から、オニシモツケ、ハンゴンソウ、ギョウジャニンニクなどの草花が育ちます。

 しかし、尾瀬ヶ原には下ノ大堀川や上ノ大堀川のように拠水林を持たない川もあります。

 それはこの川が湿原から絞り出された水が集められてできたものであり、土砂が流れてこないため拠水林が作られないというヒミツがあったのです。

◆動画による紹介(クリックすると表示されます)