尾瀬の野鳥たち(鳴き声を私たちの言葉に置き換えてみると・・・ - 聞きなし)

解説

 鳥の鳴き方には2通りあります。

 声高らかに美しい鳴き声が聞こえたら、それはさえずり。なわばりや、求愛などの鳥にとって大切な行為です。

 ジッとかチッといった声にならないようなものが聞こえたら、それは地鳴きと呼ばれる警戒の声です。

 湿原で見かけることの多いホオアカは、私たちの足音に気付くと湿原から突然飛び出し、また近くの草むらへ潜り込みます。

 しばらく耳を澄ましていると、ピッピピピピーとさえずる声が聞こえてきます。

 尾瀬ではこの声を「ヨッピの吊り橋落ちたー」と表現したりします。

■湿原でよく見られるホオアカ。鳴き声は「ヨッピの吊り橋落ちた~」と聞こえる

 このように鳥の声を人の言葉に置き換えたものを「聞きなし」といいます。

 特にウグイスのホーホケキョ(法、法華経)は有名です。また、カッコウの「カッコウ」やカラスの「カーカー」という鳴き声も聞きなしのひとつです。

 自然が豊かな尾瀬は鳥たちにとって大切な生息地です。

 それは、日本とオーストラリアを渡るオオジシギのような鳥でも同じことで、尾瀬は休息や採餌のための大切な中継地となっています。

 2005年に尾瀬がラムサール条約湿地に登録されたことで、改めてその重要性が認められました